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PRキーマンとの出会い

エベレスト登山その2

【エベレスト登山その2】

ルクラの村からリュックを背負って歩き始め、2日でナムチェバザールに着いた。「シェルパ族の里」とよばれ、標高3440M。この地方の中心地で、富士山の山頂並みの場所に、銀行や郵便局、ホテル、レストランが軒を並べる。街のはずれでは、市場が立つ。この高さでカフェのチョコレートケーキを食べると不思議な気分になった。軽装の一般ツアーもここまではくる。   

 少し歩くと、初めてエベレストのてっぺんがみえた。8000M峰の間に顔を出している。「おお〜、あれが世界のエベレストか!」と感動。8848M、地球でいちばん高い場所だ。強風で雪が吹き飛ばされるのか、全体が黒っぽい。()夜中にトイレに立ったら、月明かりにまわりの雪山が照らされ、神々しく輝いていた。荘厳だった。思わず目が釘付けになり、いまだに忘れられない。

 ここで、若いシェルパのガイドと知り合いになった。野球帽に白いジャンパー、スニーカー姿。まるで近所を散歩するようだが、この格好で毎日数千メートルの山を上り下りしている。登山隊が1週間かかって歩く道を、彼は3日でいくという。ヒマラヤ山脈で5000M程度の山には名前がない。じゃがいものようにゴロゴロ多いからだ。「日本で一番高い山は?」と聞かれ、「3776M」と答えたら、鼻で笑われた。

  話が盛り上がり、自宅に招待してくれた。レンガを土を塗り固め、木枠を窓や戸にはめただけの粗末な家。それでも父もガイドをしていたので、日銭現金収入があり、登山隊からのお下がりも多いらしい(それを小売店に売り、私のようなのが買うわけだ)ので、恵まれた方だ。暖炉兼かまどに火が入っており、紅茶をごちそうになる。燃料はヤク(高地牛)の糞を乾燥させたもの。もう臭くはない。
 
  空気が乾燥しているので、汗をかかない=体を洗う必要がない=風呂どころかシャワーもない。男性は洋服、女性は民族衣装が多いが、着替えることもあまりない。舗装はなく土が舞うので、かなりホコリっぽいのだが、それは気にしない。そのせいか、日焼けのせいか、皆顔が黒く、歯だけが白い。水道はなく、川で汲む雪解け水は白っぽい(石灰が混ざっている)がそれで煮炊きし、電気もないので、暗くなったら眠るだけだ。大昔から変わらない自然の摂理に従った暮らしがあった。 
 
 街のにぎわいと別れ、いよいよ本格的な登山コースを歩き始める。まず人影がなくなった。大きなアバウトな地図1枚(山の位置と概略コースしか書いてない)だけが頼りなので、不安になったが、ときおりヤギや牛を放牧している人がいたので、大声で「エベレストはこっちか?」と尋ねて進んだ。なんてテキトーだ!

  繰り返すが、エベレストはヒマラヤ山脈のずらりと高峰が並ぶ中にある。たどり着くには、ほかの山々の間を縫って行かねばならず、しかも橋などが整備されていないので、そこそこ登ったと思ったのに、いったん川底まで下らねばならず、また同じ高さまで登るという繰り返しが多かった。これは精神的にも疲れる。ただ、雨が少ないので、日本のように流れる水で削られた急な道、足元の悪い道は少なく、ゆるやかに登っていく。時間がかかるが、負担は小さい。 

 シェルパたちの歩き方を見ていたら、小幅でちょこちょこ歩き、すぐ休む。またちょこちょこ歩いてすぐ休む。30キロ、40キロの荷物を背負い、ひどいとビーチサンダルしかはかず、黙々と歩いていく。大股歩きは筋肉に負担が大きく、どっかり休むと再開しづらいそうだ。さっそく真似する。

 乾季だったので、毎日晴れていたが、午後から風が出たり、雲行きが怪しくなったりしたので、朝早めに出発し、昼でストップすることにした。昼間は紫外線が強くTシャツ姿でも暑いのに、朝や夜はセーターを着ても寒かった。寒暖の差が激しく、のどをやられた。

   ときおり高山病にもかかったので、頭痛や吐き気がしたら、大量に水を飲んで、体が酸素の薄さになれるまで、同じ場所に待機した。(それでも最後はせきがとまらなくなった。毎年肺水腫などで亡くなる日本人がいる。急ぎすぎなのだ)目の前で1000M級の雪崩も見た。地響きを背景に、すさまじい雪の勢いとごう音、爆発的なエネルギーで、言葉を失った。あんなのに巻き込まれたら、ひとたまりもない。

  1人でひたすら歩いていると、話し相手がいないので、自然と自分と対話し始める。日記もやたらと書いた。それも目の前のことよりも、過去の自分を振り返り、いちいちチェックしていった。たとえば、小学生のころ、親からジーパンを履いてはいけないといわれ、友達と違って悲しかったこと。そろばん検定試験で全問正解のはずが解答欄を丸ごと間違え、0点になって不合格になったこと。高校受験で第一志望を先生に安全策を説得され、チャレンジしなかったこと。大学で上京し、まわりになじめず、5月病になったこと。大きな失恋をしたことetc.

 トラウマになって、自分を抑制していた傷をひとつひとつ洗い出し、整理していった。心理学でいう、カタルシス(吐き出し浄化する)効果を自然に自分で行っていた。厳しい自然に囲まれ、頼るもののない環境下で、自分の内面をみつめ直した。内観した。思わぬ体験だった。これは後年、今の仕事につながることになった。(つづく)

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